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ちんたら療養日記4 

南の国からこんにちは

久々の戦慄

悪の教典 上/文藝春秋

¥1,800

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佐藤亜紀皆川博子に次ぐ、運命の作家に出会えた気分です。

ここまでの純粋なまでの「悪」を描き切れる作品て、そうはないです。

感覚としては、佐藤亜紀ミノタウロス』を読んだ時に近い。

あらすじはあってないようなものなんじゃないですかね。

郊外の私立高校教師の蓮見は、生徒からも教員からも保護者からも、

絶大な支持を得ている人気教員。

熱血教師でいて有能、生徒からも慕われているなんていう、

いるわけねーよ的理想の教師の恐るべき正体とは―

とでも言っておけばいいのでしょうか。

はっきり言って、文庫本だの帯だのに描かれているようなあらすじや文句では、

まったく見当違いだと思っています。

率直な感想。

「悪」というか、もう普通の人間の感覚が欠如している場合、

その行動の裏付けになるのって割とカンタンな欲求なのだな。

まるで赤ん坊のように、「不快」「邪魔」「面倒」という簡単な理由で、

次々に人を陥れ、殺していく。

こういう人物は「サイコパス」と呼ばれるらしいのですが、

なんというか、主人公はそれこそ、無垢な赤ん坊のように素直に、

欲求のままに殺戮していく。

そこが完全に人間のいわゆる感情や倫理とかけ離れていて、

はっきり言ってかけらも共感できない。

そんなトンデモ設定の主人公のトンデモ行動を、

ひたすら最後まで読ませる筆致は、すごいと思います。

この作品、まあ、書評的にはあまり高くないのですが、

ここ最近よくある感じの中途半端な理由づけを持った犯罪者(?)的な雰囲気が一切なく、

逆にそこがドライで私は楽しく読めました。

ただ、後半はひたすらむごいので、あまりお勧めはしません。

とにかく、久しぶりに打ちのめさせてもらったので、

この作品よりはるかに評判のいい、他の作品を網羅させてもらいます!