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ちんたら療養日記4 

南の国からこんにちは

人間という「偽りの神」

新世界より(上) (講談社文庫)/講談社

¥760

Amazon.co.jp

読破。

全部で、文庫は三巻という大作です。

もう。すごかった。

読み終わった後、まじで鳥肌が立ちました。怖くて。

舞台はですね、1000年後の日本です。

何があったのか、未来の日本は、人間が「呪力」と呼ばれる超能力を持ち、

何百年も逆行したかのような、牧歌的で呪術的世界になっています。

その中の北関東(今でいう)の神栖66町というのが、舞台。

町は、八丁標(はっちょうじめ)という結界で囲われ、

その外には決して出てはいけません。

八丁標の外は、悪鬼や業魔(ごうま)の世界だからです。

そのかわり、町の中の生き物は、決して人間には逆らいません。

それがたとえ、おぞましい姿をした生き物であっても―

八丁標の中だけで生きていられる限り、限りなく安全で完成した、世界。

余計なことは知らなくていい。知る必要もない。

しかし、ある子どもたちが偶然知ってしまった事実が、

神栖66町を、人類を、脅かすほどの恐怖と大参事を招いてしまう―

という、何やらわけのわからない壮大なファンタジーSFホラーです。

もう、世界観がぶっ飛んでるんですけど、

それにしても、すっごいです。怖いです。

中盤までは、訳のわからないものがすぐ背後に潜んでいるような、

得体のしれない、でも確実に何かをむしばむような静かな恐怖。

後半はまじでとんでもないくらいの大惨事。大殺戮。阿鼻叫喚。恐怖と絶叫。

そしてその後に訪れる、束の間の平穏と、

結末に判明する絶望と衝撃。

はっきり言って「グロ注意」なので、これもまた万人受けしませんね。

見慣れない設定が多くあるので、慣れるまでが大変かもしれません。

それにしても。

「人間」という生き物の、なんと愚かなことか。

生きていくため、自分たちの身を守るため。

そうは言っても、「敵」に対してここまで凶暴に、冷酷になれるものなのか。

「呪力」という名の超能力を手にしたとき、

人間は「偽の神」として地上に君臨することを選択したのです。

この世界の歴史は、それはそれは血生臭く残忍で、

読んでいると胸が悪くなってきます。

この作品の主人公たちは、そんな事実に必死で抵抗します。

しかし、(ネタバレになるかもですが)所詮、彼らもその子孫なのですよね。

自分たちが平穏、安全に生きていく。

ただそれだけを追求することは結局、他の命を排除することにつながります。

同じ人間に対してそれがためらわれたとしても、結局、

「人間以外」である途端にその枷は限りなく低くなる。

そんな、人間のずいぶんご勝手なご都合主義、いわゆるエゴが、

いやというほど徹底的に描かれた作品です。

ただのファンタジー、ただのホラー、ただのSFとは一線を画す、

巨大な裏テーマが、そこには存在しています。

とはいえ、題名にもなっている「新世界より」、

夕方に町に流れるドヴォルザークの「新世界より」(というか「家路」)も

モチーフの一つになってるんですが。

うちの近所も夕方、これが流れるんです。

この本読んでから、夕方の放送がマジで怖い。

とんだ副作用です。

さて。

この作品。

なんと、アニメ化しましたよ。

現在放送中。

「新世界より」

なんというかね、アニメはね。始まったばっかりなのでこれからなのですが、

とにかくオープニングが圧巻ですよ。

牧歌的でなぜか懐かしいような田園風景が広がり、

呪術的な雰囲気漂いつつも、なぜか、裏になにかこわーい秘密が隠れてる。

そんなこの作品の世界観が、すっごくよく出ていると思います。

こういう感じ、だあいすきなので、ぞくぞくしますよヒャッハア!